「五・七・五」の頭の五文字(冠題)を交代で出し合って、毎日、一句の交流です。
二月十六日(
土曜日)
○のほほんと 試験期間を くぐり抜け けいこ
いよいよ来週はテスト、「とりあえず受験すればいいさぁ~!」って思いたいのですが、すでに
ガチガチです。とほほ...。
○のほのんと 暮らせる陰に 無慮の恩 みどり
変哲もない日々の暮らしも、無量無数のご恩によってあらしめられていると思います。有り難
いことです。明日は「空晴れて」で一句、お願いします。
たのしみは...
江戸時代の国学者、歌人である橘曙覧(たちばなのあけみ、1812~1868年)は福井の人。
中央の歌壇と交わることなく、清貧の暮らしのうちに生涯を送った。その歌の特徴は、日常生活
に題材をとり身近な言葉で詠んだこと。特に「たのしみは」 で始まり「のとき」 で終わる一連の
歌(五十二首)「独楽吟」は、非常にわかりやすく親しみやすい。天皇皇后両陛下が1994年6月
にご訪米の折り、クリントン大統領が歓迎スピーチで、「独楽吟」の一首 「たのしみは 朝起きいでて 昨日までなかりし花の 咲ける見る時」 を引用したため、曙覧の名と歌が脚光を浴びた。
以下の写真は、「昭和のこどもたち」 で有名な人形作家・石井美千子氏が曙覧の魂を表現したといっていい作品。「橘曙覧記念文学館」(福井県足羽1丁目)に常設されている。
たのしみは
まれに魚にて 児等皆が
うましうましと いひて食ふ時
たのしみは
機織りたてて 新しき
衣を縫いて 妻が着する時
たのしみは
朝起きいでて 昨日まで
なかりし花の 咲ける見る時
土岐善麿は曙覧の歌を評して...
「その自由に率然と詠んだ歌は、必ずしも万葉語・万葉調に従はないで、いはば万葉精神に参入したものであり、連作の形式と効果を自在に巧みに運用して、生活に即し特異の情景を表現し得た力量は、近世の一歌人として推重にあたひするものである」 と言っている。
最後にもう一首...
たのしみは 空暖かに うち晴れし
春秋の日に 出てありく時
今日、ちょっと風はあるけれど、空暖かにうち晴れて、まさに出て歩くに絶好の時。湯島あたりをぶらぶらしてみようかな。