2012年1月8日(日曜日)
神様と呼ばれていいのだろうかと悩む貧乏神様のお話(その4)
びんぼう神は福の神からもらった籾(もみ)を携えて松吉の家に戻り、それを納屋の種の袋に
ざぁーっと開けました。しかし、びんぼう神の悩みはさらに深くなるばかりでした。
《
あぁ、わしみたいなものを祭らなければ、福の神が来てくれたものを! わしは何もいいことはしてやれない。どうしたらいいのだろう? 大神様、教えてくだされ! あぁ、どうしたらわしみたいな下っ端の神が大神様に会えるのじゃろう?》
次の日、なんと大神様がびんぼう神に声をかけてくださった!
《
びんぼう神どんよ、お前さんはわたしと同じ神なんじゃぞ。下っ端も上もない、良い神も悪い神もないのじゃ。そのことさえ覚えておれば、何をすればよいか自ずと分かるはずじゃ。今までどおりほかのびんぼう神がしているように、あの家を貧乏にし続ければよい。さぁ、松吉の家に戻るがよかろう…。ホッホー…》
いつものように松吉親子が目を覚まし、拍手を打って、びんぼう神様を拝みました。
でも、びんぼう神はもう悩んではいませんでした。
《
貧乏になっても幸せな人間がいるもんじゃ》と、びんぼう神は素直に夫婦の感謝を受け止めました。そして、《
自分も精一杯この親子を守ってやろう》と思うようになったのです。
(次回最終回)