2011年4月25日(月曜日)
母からゆずり受けた裁縫箱
わたしの母は縫い物の上手な人で、自分の着る物でもなんでも器用に縫っていました。
残りの端切れもていねいに仕舞っておいて、小さなものを作ったり、既製品の洋服を加工するのに使っていました。
母がいなくなって、古い母の裁縫箱をいじっているうちに、いつしかわたしも針を動かしたくなって、時々、子どものいたずらのようなものを作っています。
昨日の夜は、1960年代末のなつかしい映画『若者たち』(田中邦衛、山本圭、佐藤オリエなど
出演)を観ました。観ながら、母の引き出しに仕舞ってあった同じ柄の風呂敷二枚を合わせて、
椅子用長座布団のカバーを縫いました。「
手を休めていられない」 というのも、母譲りのクセ。
ゆずり葉 河合酔茗
子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り変わってふるい葉が落ちてしまうのです。
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって ――。
子供たちよ。
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです。
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。
かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど ――。
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。
今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。
そしたら、子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見る時が来るでしょう。
*JR巣鴨駅前の植え込みの西洋シャクナゲがきれいに咲きました。